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2023.10.01
補助金の圧縮記帳とは?仕組みやメリット・デメリットを解説
こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
事業への補助金はとてもありがたい制度ですが、受け取った補助金も利益になるので、原則として法人税の対象です。
そこで、法人の会計処理では補助金を十分に活用するため、圧縮記帳という処理が認められています。
圧縮記帳を行うと、補助金を受けた当年の利益を繰り延べて、補助金が本来の効果を十分に発揮しやすくなります。
今回は、補助金に対する圧縮記帳について解説。
圧縮記帳の概要や対象となる補助金、具体的な記帳方法などをご紹介します。
国や自治体からの補助金を活用しようと考えている企業には、ぜひ知っておいてほしい情報です。
補助金で活用すべき圧縮記帳とは?メリット・デメリットも解説
圧縮記帳とは、補助金などに対する課税負担を一時的に繰り延べる制度です。
原則として補助金も利益になり、そこには法人税が課税されます。
しかし、補助金自体にも税金がかかるのでは、受け取った補助金を十分に活用することができませんよね。
そこで、会計処理で「圧縮損」を計上して補助金による利益を減らし、当年の課税所得を減らすことで税負担を抑えます。
これが圧縮記帳の仕組みです。
支払う税金の総額は変わりませんが、補助金を受けた年の税負担を減らせるので、補助金の効果が高くなります。
圧縮記帳のメリット
圧縮記帳を活用するメリットは、補助金を受けた年の税負担を減らすことで、企業の補助金を活用した設備投資の意欲や効果を支えることです。
せっかく補助金を受けても、結局そこへたくさんの税金が課せられるとなると、補助金の活用にも消極的になってしまいます。
圧縮記帳で当年の税負担を抑えることで、補助金の効果を十分に生かして設備投資に取り組むことができるでしょう。
圧縮記帳のデメリット
一方、圧縮記帳のデメリットは会計処理が複雑になることです。
圧縮記帳を行うには、記帳時の圧縮損の計上のほか、法人税申請時に明細書の作成・添付などが必要になります。
また、当年の税負担を一時的に繰り延べるものなので、その税負担は翌年以降に分散されます。
決して「税金が安くなる」というわけではないことも押さえておきましょう。
圧縮記帳の対象となる補助金を紹介!
全ての補助金を圧縮記帳できるわけではなく、圧縮記帳の対象となるのは原則国や地方自治体からの補助金で、さらに設備など固定資産の取得や改良に対する補助金です。
具体的には以下のような補助金で圧縮記帳が可能です。
ものづくり補助金
中小企業や小規模事業者が革新的なサービスの開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。
補助金の対象となるのは、機械装置の購入費や技術導入費、専門家の依頼費用、運搬費用などに限定されています。
補助率はかかった経費の2/3以内、支給上限額は500万円から3,000万円です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が持続的な経営のための販路開拓や業務効率化などの取り組みに対する費用を支援する補助金です。
補助率は補助対象経費の2/3以内、支給上限額は50万円です。
IT導入補助金
中小企業・小規模事業者のITツールの導入を支援する補助金です、
補助率は通常枠で補助対象経費の2/3以内、支給上限額は最大で450万円です。
事業再構築補助金
新分野への挑戦や事業・業種・業態転換など、思い切った事業再構築に取り組む中小企業などを支援する補助金です。
成長枠で中小企業の場合、補助率は補助対象経費の最大2/3、支給上限額は最大で7,000万円です。
事業類型の補助金は複数あり、企業規模によっても支給上限額が異なります。
「倉庫や工場に利用できる事業再構築補助金とは?概要や申請方法も解説!」でも詳しくご紹介していますのであわせてご覧ください。
補助金を受けた際の圧縮記帳の仕分け方法
圧縮記帳は、固定資産の購入時に圧縮損を計上して固定資産の取得価格を抑えます。
「直接減額方式」の具体的な仕分け方法を、300万円の設備購入に際して100万円の補助金を受けた場合(補助金100万円全額を圧縮記帳の対象、設備の償却率は0.25とする)で
以下にご紹介します。
①補助金受給時
借方 | 貸方 | ||
預金 | 100万円 | 雑収入 | 100万円 |
②設備購入時
借方 | 貸方 | ||
設備費 | 300万円 | 預金 | 300万円 |
圧縮損 | 100万円 | 設備費 | 100万円 |
※会計上、設備費が200万円の計上となる(300万円-100万円)
③期末の減価償却費計上処理
借方 | 貸方 | ||
減価償却費 | 50万円 | 設備費 | 50万円 |
※減価償却費の計算:200万円(設備)×0.25(償却率)×12月/12月=50万円
なお、圧縮記帳を行わない場合は設備費が300万円で、減価償却費は300万円×0.25×12月/12月=75万円となります。
圧縮記帳を行うと、設備取得価格(当年の利益)を下げて当年の課税負担を抑えます。
しかし、取得価格が抑えられることで減価償却費が下がり(75万円→50万円)、経費が下がることで利益が増えて翌年以降の税金は圧縮記帳を行なわない場合よりも増えます。
また、固定資産を売却したときも、同じ売却価格に対して圧縮記帳で取得価格を下げている分利益が増え、売却時の税金も増えます。
ただし、このような増額分は初年度の利益の繰り延べなので、支払う税金の総額は変わりません。
補助金を受ける際には圧縮記帳を活用して効果的に設備投資を
圧縮記帳とは、補助金などに対する課税を翌年以降に繰り延べる制度です。
圧縮損を計上することで当年の所得を減らして法人税を抑えます。
圧縮記帳は、補助金の効果を十分に活用して企業が設備投資などを積極的に行えるようになるのがメリット。
ただし、そのための会計処理や事務処理が複雑で手間がかかることがデメリットです。
また、税負担はなくなるのではなく翌年以降に繰り延べられることにも注意を。
圧縮記帳の対象となるのは、国や地方自治体からの補助金で、固定資産の購入や改修を対象としたものです。
具体的にはものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金などが該当します。
適切な会計処理が必要とはなりますが、事業拡大のためにもぜひ補助金とその圧縮記帳を活用しての設備投資を検討しましょう!
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