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2024.11.25

危険物倉庫の保有空地をわかりやすく解説!うまく活用して建てる方法も

こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。

 

危険物倉庫を建築する際に守るべき規定はさまざまありますが、今回はその中でも「保有空地」について解説します。

 

保有空地は、安全確保のために設けられるスペースです。

 

危険物倉庫における保有空地の目的や基準、限られた敷地を最大限に活用して危険物倉庫を建てる方法などをご紹介します。

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ここに目次が入ります

 

 危険物倉庫の保有空地に関する決まりとは?

危険物倉庫の建設には、消防法や建築基準法による厳格な規制が設けられています。

 

爆発や火災のリスクがある「危険物」を保管していることから、周辺の安全を守るために不可欠な要件となっています。

 

例えば、「建設可能な地域」「建物の面積や高さ」「耐火・防火構造、設備、素材」などが細かく定められています。

 

そして、その中でも特に重要な要件の一つが「保有空地の確保」です。

 

保有空地とは、危険物倉庫の周囲に必ず確保しなければならない空間のこと

万が一危険物倉庫で爆発や火災が起こったときに周囲への延焼を防止したり、消火活動をスムーズに行なったりするために設けられる空間です。

火災などが起こったときに、周囲への影響を最小限にすることを目的としています。

 

保有空地の基準

保有空地として必要な幅は、建物の構造や保管する危険物の量によって定められています。

屋内貯蔵所の場合の保有空地の基準は以下の通りです。

区分 空地の幅
壁、柱、床が耐火構造である場合 左欄以外の場合
指定数量の倍数が5以下 規定なし 0.5m以上
指定数量の倍数が5超~10以下 1m以上 1.5m以上
指定数量の倍数が10超~20以下 2m以上 3m以上
指定数量の倍数が20超~50以下 3m以上 5m以上
指定数量の倍数が50超~200以下 5m以上 10m以上
指定数量の倍数が200超 10m以上 15m以上

※参考:e-GOV法令検索 危険物の規制に関する政令 第10条2項

 

指定数量とは、危険物を取り扱う際の基準となる量のことです。

こちらのコラムでも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

危険物倉庫の指定数量とは?消防法と建てる際の注意点も解説

 

なお、危険物倉庫の保有空地基準は、各自治体でより詳細な基準や測定方法が設けられている場合もあります。

そのため、詳細は建設予定の自治体の条例などを確認することが重要です。

 

危険物倉庫の建築基準についてはこちらのコラムでも詳しく解説しています。

危険物倉庫を建てることができる用途地域は?土地の制限も確認

危険物倉庫の放爆仕様(放爆構造)とは?必要な火災・防爆対策を解説!

 

 

危険物倉庫の保有空地の定めをうまく活用して建てる方法を紹介

一定規模以上の危険物倉庫の建設では、保有空地の確保は必須です。

そのため、広大な敷地の確保が必要となります。

 

しかし、この規定をうまく活用することで、敷地を広げることなく保管効率を向上させた倉庫建築が可能です。

 

注目したいのは、危険物の規制に関する政令第10条2項で定められる「2以上の屋内貯蔵所を隣接して設置するときは、その空地の幅を減ずることができる」というルールです。

 

例えば、1棟の大規模な倉庫として建設する場合、保管する危険物の数量が大きくなることで必要な保有空地も広くなります。

 

ただし、2棟に分けて建設することで、それぞれの倉庫の保管数量を減らして必要な保有空き地の幅を減らし、さらには隣接設置による保有空地の緩和を受けることができるのです。

 

同じ広さの敷地でも、よりたくさんの危険物を効率的に保管できるようになります。

 

戦略倉庫の危険物倉庫の施工事例をご紹介

戦略倉庫で手がけた危険物倉庫の施工事例も、参考にご紹介します!

先ほどご紹介した2棟隣接設置の対応を行っています。

 

【宮城県柴田郡】三丸化学株式会社様 危険物倉庫2棟増築工事

危険物倉庫2棟増築工事

使用済み有機溶剤のリデュース・リユース・リサイクルで環境と社会に貢献する三丸化学様の危険物倉庫を建設いたしました。

 

当初は1棟建ての計画でしたが、保管効率や利便性などを考慮して2棟建てをご提案し、採用いただきました。

排水溝や防爆仕様の強制換気など、危険物倉庫に必要な設備もしっかり備えています。

 

 

保有空地と保安距離の違いも確認!

危険物倉庫

保有空地と似ている言葉で、危険物倉庫を建築する際に知っておくべき「保安距離」があります。

 

保安距離とは、危険物施設から特定の施設までに確保すべき距離のこと。

 

こちらも、火災などが起きた際の周辺施設への影響を最小限にすることを目的として定められています。

 

保安距離の確保が必要となる施設には、住宅・学校・病院など大勢の人が集まる施設、保護すべき重要文化財や史跡、二次災害につながる恐れがある特別高圧架空電線などがあります。

 

 

危険物倉庫の建設には保有空地の確保が必要

保有空地とは、危険物倉庫の周りに確保が必要なスペースのことです。

 

危険物は爆発や火災のリスクがあるため、万が一火災が起こったときに周辺への被害を最小限に、スムーズに消火活動を行う目的で設けられます。

 

保有空地として確保が必要な幅は、保管する危険物の量や倉庫の構造によって定められています。

 

自治体によって詳細や測定方法が異なるケースもあるため、自治体の条例の確認が必要です。

 

なお、同じく危険物倉庫の安全確保の概念として、保安距離というものもあります。

こちらは、住宅や病院、特別高圧架空電線など特定の施設から危険物倉庫まで確保しなくてはいけない距離のことです。

 

戦略倉庫でも危険物倉庫を建設しており、2棟隣接設置の対応も行っております。

約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。

 

倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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久保 大輔設計部 部長

某設計事務所にて設計監理業務に従事し、現在は内池建設にて倉庫建築をはじめ様々な建築設計に取り組んでいる毎日です。建築を楽しみながら、安心で快適、使いやすく、みんなに愛される建築を提供していきたいと思います。

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