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2025.02.15
危険物倉庫の換気設備の基準をわかりやすく解説!
こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
危険物倉庫の建設では、さまざまな厳しい基準が定められています。
換気設備の設置もその一つで、危険物倉庫を安全に運用するために欠かせません。
今回のコラムでは、危険物倉庫に設置する換気設備の基準を解説!
危険物倉庫に換気設備が必要な理由や、設置する換気設備の種類、性能基準などをお伝えします。
危険物倉庫の建設や運用を検討している方はぜひご覧ください。
まずは危険物倉庫の建築基準からおさらい
危険物倉庫とは、消防法で定めた危険物を安全に保管・管理するための専用の倉庫のことです。
消防法では、危険物を取り扱う「危険物施設」を「製造所」「貯蔵所」「取扱所」の3種類としていて、危険物倉庫はこの中で「貯蔵所」のことを指します。
- 製造所:危険物を製造する施設
- 貯蔵所:危険物を貯蔵・取り扱う施設
- 取扱所:危険物を製造以外で取り扱う施設。ガソリンスタンドなどが代表的
危険物は、爆発や火災、延焼などのリスクが大きい物質のため、保管する倉庫も厳しい建築基準や取り扱い基準などが定められています。
危険物倉庫の建築基準、設備基準として代表的なものには、以下のような基準があります。
- 周りの建物・施設から一定の保安距離を確保する
- 敷地内に一定の保有空地を確保する
- 軒高6m未満の平屋
- 床面積は1,000㎡以下
- 壁や梁、床を耐火構造とする
- 屋根には軽量金属板等の不燃材料を用いる
- 一定の消火設備を設置する
- 必要に応じて採光、照明、換気及び蒸気排出設備を設置する など
厳しい基準を設けて建設・運用することで、火災や爆発のリスクを下げ、万が一火災が起こった場合も周辺への被害を最小限に抑えることができるのです。
危険物倉庫における建設基準をこちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
建設できる用地や必要な保有空地など、さまざまな基準が厳しく定められています。
危険物倉庫の保有空地をわかりやすく解説!うまく活用して建てる方法も
危険物倉庫の放爆仕様(放爆構造)とは?必要な火災・防爆対策を解説!
危険物倉庫では換気設備が重要!設置基準を解説
危険物は引火性や発火性があったり、施設内に可燃性の水蒸気やガスが滞留したりする可能性があります。
そのため、適切な換気を行うためにも危険物倉庫には換気設備の設置が必要です。
換気により室内の空気を適切に入れ替え、室温の上昇を防いだり水蒸気やガスを排出したりすることで、火災のリスクを下げることにつながります。
危険物倉庫内の温度管理には、空調設備の設置も必須です。
空調設備の重要性や設置における注意点は「危険物倉庫の空調設備の重要性や設置の注意点を解説!」をご覧ください。
なお、消防法では以下の「危険物の規制に関する政令」にて、危険物倉庫に必要な換気設備を設置する旨を定めています。
危険物の規制に関する政令第9条第10号
危険物を取り扱う建築物には、危険物を取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設けること。
危険物の規制に関する政令第10条第1項第12号
貯蔵倉庫には、危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設けるとともに、引火点が七十度未満の危険物の貯蔵倉庫にあつては、内部に滞留した可燃性の蒸気を屋根上に排出する設備を設けること。
※引用:e-GOV法令検索「危険物の規制に関する政令」より
危険物倉庫の換気設備の種類と設置基準について
換気設備は主に以下の3種類から、保管する危険物の性質や取扱状況に応じて選択し、適切な場所に設置します。
- 自然換気設備:給気口・排気口で自然換気するもの
- 強制換気設備:換気口とベンチレータで強制換気するもの
- 自動強制換気設備:換気口と動力ファンで常時強制換気するもの
強制換気設備、自動強制換気設備の性能は、風速1.6m/秒以上、1時間あたりおおむね5回以上の換気能力が目安となっています。
また、引火点が40℃未満の危険物を取り扱う場合は自動強制排出設備、引火点が40℃以上70℃未満の危険物を取り扱う場合は強制排出設備または自動強制排出設備を設置する必要があり、換気口は地上高4m以上(平家建ては屋根上)への設置が目安です。
ただし換気設備の具体的な基準は自治体の条例で定められることがあるため、地域の消防署に確認が必要です。
危険物倉庫の換気の設置基準を守って安全管理を徹底しよう
危険物倉庫の換気設備は、火災や爆発を防ぐための重要な安全対策です。
危険物倉庫で保管する危険物は、引火や発火のリスクがあったり、可燃性の水蒸気やガスを発生させたりするものがあるため、空気の入れ替えで発火のリスクを下げるのが目的です。
設置する換気設備は、保管する危険物の性質や特徴、取扱状況に応じて適切なものを選択し、法令や条例で定められた基準に従って設置・運用する必要があります。
換気設備の設置基準を遵守し、危険物倉庫の安全な運営を心がけましょう。
戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。
倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。