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2024.11.06
危険物倉庫の指定数量とは?消防法と建てる際の注意点も解説
こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
消防法で定める指定数量以上の危険物は、危険物倉庫での保管・取り扱いが必要です。
危険物倉庫の建設や運用は、消防法や指定数量に基づいて適切な管理が求められます。
今回のコラムでは、危険物の指定数量や危険物倉庫を建設する際の注意点について解説します。
法令を遵守し、安全な保管環境を整えるための基礎知識を一緒に学びましょう!
危険物倉庫の基本!保管する危険物と指定数量を解説
危険物倉庫とは、引火性や発火性のある物質など、特に取り扱いに注意が必要な「危険物」を安全に保管するための施設です。
危険物の種類や取り扱い基準、管理方法などは、消防法で厳格に定められています。
危険物とは?
危険物とは、消防法で指定されている全六類の物質です。
火災発生・火災拡大の危険性が大きく、消火が困難という性質があります。
では、消防法第2条第7項で指定されている全六類の危険物を確認しましょう。
【第一類】酸化性固体(第一類)
塩素酸塩類、過塩素酸塩類、酸化物など。
ほかの物質と反応して、発火や爆発を引き起こす危険性がある固体です。
工業用の漂白剤や殺菌剤に含まれる物質が代表的です。
【第二類】可燃性固体
硫化りん、赤りん、硫黄など。
40度未満で引火しやすく、発火や爆発の危険性がある固体です。
硫黄や工業用の金属粉などが該当し、燃焼すると消火が困難なものが多いです。
【第三類】自然発火性・禁水性物質
カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウムなど。
空気にさらされて自然発火しやすい、または水に触れて発火したり可燃性ガスが発生したりする危険性がある物質です。
【第四類】引火性液体
第一石油類、アルコール類、第二石油類など。
火気や静電気などで引火や爆発の可能性がある液体です。
ガソリンや灯油など、最も身近にある危険物でしょう。
【第五類】自己反応性物質
有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物など。
比較的低い温度で発熱を起こし、爆発的な反応を起こす危険性がある物質です。
【第六類】酸化性液体
過塩素酸、過酸化水素、硝酸など。
ほかの物質を酸化、発火させる危険性がある液体です。
危険物の指定数量とは?
指定数量とは、消防法で定められた危険物の取り扱いについて、規制の基準となる数量のことです。
指定数量の1倍以上の危険物は、専用の危険物倉庫で保管すると定められています。
例えば、第四類の代表的な危険物であるガソリンの指定数量は200Lです。
200L以上のガソリンを保管する場合、危険物倉庫での保管が必要となります。
なお、指定数量は危険物の種類によってそれぞれ定められています。
<危険物の指定数量>
第一類 (単位:kg) |
第一種酸化性固体 | 50 | |
第二種酸化性固体 | 300 | ||
第三種酸化性固体 | 1,000 | ||
第二類
(単位:kg) |
硫化りん、赤りん、硫黄 | 100 | |
鉄粉 | 500 | ||
第一種可燃性固体 | 100 | ||
第二種可燃性固体 | 500 | ||
引火性固体 | 1,000 | ||
第三類
(単位:kg) |
カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム | 10 | |
黄りん | 20 | ||
第一種自然発火性物質及び禁水性物質 | 10 | ||
第二種自然発火性物質及び禁水性物質 | 50 | ||
第三種自然発火性物質及び禁水性物質 | 300 | ||
第四類
(単位:L) |
特殊引火物 | 50 | |
アルコール類 | 400 | ||
第一石油類 | 非水溶性液体 | 200 | |
水溶性液体 | 400 | ||
第二石油類 | 非水溶性液体 | 1,000 | |
水溶性液体 | 2,000 | ||
第三石油類 | 非水溶性液体 | 2,000 | |
水溶性液体 | 4,000 | ||
第四石油類 | 6,000 | ||
動植物油類 | 10,000 | ||
第五類
(単位:kg) |
第一種自己反応性物質 | 10 | |
第二種自己反応性物質 | 100 | ||
第六類(単位:kg) | 300 |
危険物の保管には「指定数量の倍数の計算」が必要
指定数量の倍数とは、危険物の数量を指定数量で割った値です。
倍数が1以上、つまり指定数量以上の場合は消防法の規制により、危険物倉庫での保管が必要です。
また、事業内容によっては、同じ危険物倉庫内で複数の種類の危険物を保管することもあるでしょう。
その場合は、それぞれの危険物について指定数量の倍数を計算し、合計して考える必要があります。
例えば、50kgの危険物A(指定数量100kg)、150kgの危険物B(指定数量200kg)、100kgの危険物C(指定数量300kg)を保管したい場合は、以下の計算で倍数を求めます。
- 危険物Aの倍数:50÷100=0.5
- 危険物Bの倍数:150÷200=0.75
- 危険物Cの倍数:100÷200=0.5
- 3種類の危険物の倍数の合計:0.5+0.75+0.5=1.75
3種類の危険物はそれぞれでは指定数量未満(1倍未満)ですが、合計で倍数1以上となるため消防法の規制対象となり、危険物倉庫での保管が必要です。
なお、指定数量未満の危険物は消防法の規制対象外となり、危険物倉庫での保管は不要となります。
倍数が0.2以上~1(指定数量)未満の危険物、または倍数0.2未満の危険物は市町村条例などに従って届出、保管、取り扱いなどを行います。
危険物倉庫を建てるための手順と指定数量以外の基準
危険物倉庫の建設は、以下のような段階を経て進められます。
- 消防署と事前協議を行う
- 危険物倉庫を建てる自治体へ設置許可を申請する
- 設置許可を取得し、工事に着手する
- 工事中の中間検査を行う
- 倉庫が完成したら、完成検査を申請、検査を受ける
- 完成検査証を受領し、危険物倉庫の使用を開始する
さらに、危険物倉庫は、消防法により建設場所や規模、構造、設備などについてさまざまな規制があります。
例えば、一般住宅や学校、病院などから一定の距離をとることや、延焼防止などのために周囲に空地を確保すること、不燃材料の使用や耐火構造、防火設備・消火設備の採用などが定められています。
危険物倉庫の建築基準については、こちらのコラムで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
また、危険物取扱者の有資格者配置や、危険物取り扱いの標識や取り扱い内容の表示なども求められます。
消防法のほか、建築基準法や火災予防法、各自治体の条例などの規制も受けるため、危険物倉庫の建設は、ノウハウや実績を持つ建設会社に相談しながら進めることをおすすめします。
危険物倉庫は消防法で定める指定数量以上の危険物を保管する施設
指定数量以上の危険物は、消防法に基づいて危険物倉庫での保管・管理が必要です。
消防法で定められた危険物は6種類の分類があり、物質ごとに「指定数量」という取り扱い量の基準があります。
複数の種類の危険物を同一倉庫に保管する際は、各危険物の「倍数」を計算し、合計が1倍以上であれば消防法の規制が適用され、危険物倉庫での保管が必要です。
危険物倉庫の建設は、消防法はもちろん、建築基準法や火災予防法、各自治体の条例などさまざまな規制や基準を遵守する必要があるため、ノウハウや実績を持つ建設会社に相談しながら進めることをおすすめします。
戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。
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