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2025.02.10

危険物倉庫を建てる前知識!危険物の基本や表示の義務を解説

こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。

 

危険物倉庫を建てる際にはさまざまな基準や規定を理解しておく必要がありますが、表示義務もそのうちの一つ。

 

危険物倉庫における表示は、消防法で細かく定められているため「どんな表示が必要なのか?」「決まりを守らなかった場合はどうなるのか?」といった不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

 

今回のコラムでは、危険物や危険物倉庫の基本情報を確認した上で、表示のルールについて詳しく解説します。

 

危険物倉庫に必要な表示の種類や、危険物の取り扱いに必要な資格などもお伝えするので、危険物倉庫の建設前にぜひチェックしてみてください。

危険物マーク
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ここに目次が入ります

 

 

危険物とは?まずは基本からチェック

危険物とは、火災や爆発、中毒などを引き起こす可能性のある物質の総称です。

その中でも、消防法で定められた6分類の「危険物」は、危険物倉庫での保管が求められます。

 

危険物の種類

消防法では、危険物を以下の6つに分類しています。

 

第1類:酸化性固体

可燃性物質との接触や熱、衝撃、摩擦により発火や爆発の危険がある物質です。

 

第2類:可燃性固体

着火や引火が起こりやすい物質です。

 

第3類:自然発火性物質及び禁水性物質

空気に触れて自然発火したり、水と反応して発火したりしやすい物質です。

 

第4類:引火性液体

引火点が低く、爆発や火災を引き起こす危険性がある物質です。

 

第5類:自己反応性物質

空気に触れなくても自己燃焼しやすい物質です。

 

第6類:酸化性液体

可燃性物質と接触することで発火する恐れがある物質です。

 

危険物倉庫の定義

消防法では、危険物を取り扱う施設を以下の3つに分類しています。

  1. 製造所:危険物を製造する施設
  2. 貯蔵所:危険物を保管する施設
  3. 取扱所:製造や保管以外で危険物を扱う施設(例:ガソリンスタンド)

 

「危険物倉庫」というと上記の中では主に貯蔵所のことを指します。

タンク貯蔵所、地下タイプの貯蔵所、移動式タンク貯蔵所などの種類があり、それぞれに応じた基準があります。

 

危険物倉庫の基準や仕様、建築許可について、こちらのコラムでもそれぞれご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

 

危険物倉庫とは?法令で定められた建設をする際の基準もご紹介

危険物倉庫の放爆仕様(放爆構造)とは?必要な火災・防爆対策を解説!

危険物倉庫の許可申請フローや進め方のコツをご紹介!

 

 

危険物倉庫を建てる前に知っておくべき危険物の表示

危険物倉庫では、保管する危険物の種類や危険性を示す表示が義務付けられています。

表示によって周囲の人々が危険物の種類や性質、危険性を理解し、安全に取り扱えるようにすることが目的です。

 

危険物の表示の種類と設置基準

危険物の表示には、主に以下のような種類があります。

  • 標識:特定の危険物が存在することを示す
  • 掲示板:危険物の種類や危険性などを示す
  • 旗:危険物が特定の場所にあることを示す
  • チャート:施設内に掲示し、危険物の種類や取り扱い方法、緊急時の対応方法を示す

 

この中でも重要な、標識と掲示板の基準もご説明します。

 

危険物を扱う施設には、危険物を扱っていることを示す標識と防火対策の必要性を表わす掲示板の2種類を設置しなければなりません。

 

表示の内容については、危険物の規制に関する政令で表示方法が定められています。

 

標識は「危険物屋内貯蔵所」など取扱危険物の内容を表示する必要があり、長さ0.6m以上・幅0.3m以上のサイズで、白地に黒文字で記載します。

 

掲示板も長さ0.6m以上・幅0.3m以上のサイズと決まりがあり、白地に黒文字で「危険物の類別・品名・最大数量・指定数量の倍数・保安監督者名または職名」を表示しなければなりません。

 

また、貯蔵または取扱う危険物の性状によっては、「火気注意」「火気厳禁」「禁水」などの注意事項を表示する掲示板も必要です。

 

ちなみにサイズは長さ0.6m以上・幅0.3m以上と同じで、「火気注意」「火気厳禁」は赤地に白文字、「禁水」は青地に白文字と決まっています。

 

これら全て、倉庫の見やすい場所に設置することが義務付けられています。

 

危険物の指定数量とは

掲示板にも記載が必要な「指定数量」とは、危険物を取り扱う際に消防法の適用を受ける基準となる量のことです。

危険物の種類に応じて設定されています。

 

指定数量の1倍以上の危険物は、消防法に基づき、認可された危険物倉庫で保管することが求められます。

 

なお、指定数量未満の危険物は消防法の規制対象外となり、危険物倉庫での保管は不要です。

指定数量の倍数が0.2以上~1未満の危険物、または倍数0.2未満の危険物は、市町村条例などに従って届出、保管、取り扱いなどを行います。

 

危険物の指定数量やその計算方法は「危険物倉庫の指定数量とは?消防法と建てる際の注意点も解説」で詳しくご紹介しています。

 

危険物のラベル

危険物を保管・運搬する容器にはラベルの貼り付けが求められます。

ラベルには以下のような情報が表示されます。

  • 製品名
  • 危険物の種類と危険性
  • 取り扱い・保管方法

 

なお、ラベルには国際的に統一されたGHSラベル(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)が採用されています。

GHSラベルは特定の記号や色を用いて危険性を示しており、危険有害性情報や適切な取り扱い方法を簡潔かつわかりやすく伝えるものです。

 

これらの表示を適切に行うことで、危険物の取り扱いにおけるリスクを最小限に抑えることができます。

 

 

危険物倉庫からの運搬・移送の知識も確認

危険物倉庫からの運搬

危険物の運搬・移送は、指定数量以下でも消防法の適用を受け、適切な取り扱いや管理が必要となります。

 

運搬とは危険物を一つの場所からほかの場所へ移動すること、移送とは移動タンク貯蔵所を利用して危険物を運搬することです。

 

主に以下のような対応が必要です。

  • 適切な警告表示をする
  • 消火器等の安全装置を設置する
  • 資格免状を携帯した有資格者が同乗する

 

なお、危険物の取り扱いに必要な資格は以下です。

  • 甲種危険物取扱者:全ての危険物の取り扱いが可能
  • 乙種危険物取扱者:特定の危険物の取り扱いが可能
  • 丙種危険物取扱者:貯蔵・運搬作業が可能

 

 

危険物倉庫にはわかりやすい表示が必要!

危険物倉庫には、法令で定められた表示の設置が不可欠です。

 

危険物を安全に保管・管理するため、標識や掲示板はサイズ、色使い、設置場所などが細かく規定されています。

 

消防法で定められた6分類の危険物を指定数量以上保管する場合は、危険物倉庫にて保管し、適切な表示や標識を設置しましょう。

 

また、危険物の運搬・移送には資格を持った専門の取扱者が必要です。

危険物倉庫の建設前にはこれらの基準をしっかりと確認し、安全な運用を目指しましょう。

 

戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。

 

倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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久保 大輔設計部 部長

某設計事務所にて設計監理業務に従事し、現在は内池建設にて倉庫建築をはじめ様々な建築設計に取り組んでいる毎日です。建築を楽しみながら、安心で快適、使いやすく、みんなに愛される建築を提供していきたいと思います。

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