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2024.08.08
製造業の生産拠点の国内回帰が進む理由と課題を解説
こんにちは!北海道~東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
日本の製造業では、コスト削減や労働力確保などを目的として、海外に製造工場を持っている企業も多くあります。
しかし近年、製造業の生産拠点は国内回帰が進んでいます。
これには、どのような背景があるのでしょうか。
今回の話題は、この製造業の生産拠点の国内回帰についてです。
生産拠点が海外にあった理由と近年進む国内回帰の理由、国内に生産拠点を戻すことによる課題などを解説します。
製造業の生産拠点を海外に移していた理由とは?
日本の製造業は、1970年代前半までの高度経済成長期、1980年代後半から1990年代前半のバブル経済期、そしてバブル崩壊後1990年代以降の国内経済停滞期を経て、生産拠点の海外進出を積み重ねてきました。
製造業の生産拠点を海外に移していたのにはこんな理由があります。
- 人件費が安いから
- 人口が多く労働力を確保できるから
- 外国からの原材料の確保、外国への製品の供給がスムーズにできるから
日本の製造業の生産拠点が多かったのは、人口が多く労働力も豊富で「世界の工場」ともうたわれる中国です。
そのほか人件費や土地の購入費を抑えられるタイ、フィリピン、そして中国を抜いて人口世界一となったインドなど、若者が多く人材が豊富な国に生産拠点を置く企業が多いです。
製造業の生産拠点が国内回帰している理由
しかし近年、製造業の生産拠点は国内回帰が進んでいるといわれています。
それには以下のような理由が考えられます。
コロナ禍による経営リスクの回避
コロナ禍では、パンデミックによる工場の稼働停止や国境を越える人や物の移動制限、原材料の供給停止などが起こりました。
これにより製造工場では、製造や営業が一時ストップしてしまうという事態にも。
このような経営上のリスクを避け、有事においても安定して稼働できる国内へ生産拠点を戻す動きがみられています。
円安や人件費高騰によるコスト対策
円安とは、外国の通貨に対する円の価値が相対的に下がることです。
現在日本では円安傾向が続いており、外国拠点で外国の労働力を使うよりも、日本拠点で日本の労働力を使うほうが人件費を抑えられる可能性があります。
また、経済成長やインフレにより、多くの国では人件費自体も上昇傾向であることも理由の一つです。
米中貿易摩擦への対策
米中貿易摩擦とは、アメリカと中国による貿易面での対立のことです。
現在、アメリカと中国はお互いに相手の国で作った製品に高い関税をかけています。
日本は海外生産拠点として特に中国に多くの製造工場を置いているので、中国で作った製品をアメリカに輸出する際に高額な税金がかかってしまうのです。
この輸出コストへの対策として、特に中国にあった生産拠点を国内に移す動きがみられます。
国による支援
コロナ禍により日本のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、国も国内での生産拠点確保の動きを進め、国内での生産拠点等の整備に対する支援を行っています。
例えば「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」などの政策では、数千億円規模の予算を投入し、生産拠点の国内整備を後押ししています。
国による支援もあり、国内での設備投資額も増えています。
倉庫や工場を新しく建てる際のポイントも、あらためて確認しておきましょう。
以下のブログも参考になるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金を解説!
倉庫・工場の事業用地の探し方を解説!事前の確認点や絞り方とは
生産拠点の国内回帰が進む上での課題
生産拠点の国内回帰は、経営の安定化やサプライチェーンの強化というメリットがある一方、労働力不足という課題もあります。
日本は人口減少による労働人口減少という全体的な課題があり、特に若者世代が少ないです。
日本企業は研究開発や人材の分野がこれまで投資不足といわれ、高度技術者や熟練技能者といった高度人材が不足しているのも国内課題の一つです。
近年エネルギーコストや原材料費などの高騰が右肩上がりなことも、今後の国内投資への影響が大きいと考えられるでしょう。
また、国内回帰を進めていくにあたって、日本が労働力不足であることも課題の一つです。
十分な人員の確保が難しければ、少ない人数で回せる効率の良い施設の設計、システム作りが重要となるでしょう。
戦略倉庫でも効率化できる倉庫や工場をご提案できますので、お悩みの方はぜひ一度ご相談ください!
生産拠点の国内回帰はリスク回避とコスト削減が目的!人材不足の課題も
日本の製造業はコスト削減や労働力確保を目的に、生産拠点の海外進出を行ってきました。
しかし近年、コロナ禍による経営リスク回避や円安・海外人件費高騰によるコスト対策、米中貿易摩擦への対策などを理由に、生産拠点の国内回帰の動きがみられます。
日本政府のサプライチェーン対策支援政策なども影響し、国内での設備投資は増えています。
一方で、生産拠点の国内回帰には課題もあります。
日本国内の人口減少による労働力不足や、投資不足による高度技術者や熟練技能者の不足が深刻です。
また、エネルギーコストや原材料費高騰による国内設備投資への影響も懸念されています。
日本で生産を進める際には労働力不足も課題の一つですが、効率の良い施設の設計、システム作りができれば、うまく回すことができるでしょう。
戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。
倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。