ここに目次が入ります
2022.05.10
農地転用とは?許可基準や手続き方法を紹介
こんにちは!北海道〜東北の倉庫・工場の建設会社「戦略倉庫」の久保です。
農業を行うための土地「農地」に、倉庫や工場を建設することは可能なのでしょうか?
実は、農地には法律によってさまざまな保護や規制があり、農業以外に使用する際には農地転用許可をとる必要があります。
今回のコラムでは、この「農地転用」について解説。
農地転用とはどんな制度でどんな場合に必要なのか、違反した場合の措置や農地転用の手続きについてもご紹介します。
農地転用の基礎と農地転用の規制について解説
農地転用とは、農地を農地以外のものにする手続きのことです。
農業は国を支えるために大切な産業のため、農業を行うための土地「農地」は農地法などの法律で、税金の特例や農業以外に使用できない、自由に売却できないといった保護や規制がされています。
農地を農業以外に使用するためには、都道府県知事や農林水産大臣から「農地転用」の許可を得なくてはいけません。
農地転用については、農地法第4条と第5条で規制されています。
- 農業法第4条:農地の所有者本人が農業以外に使用するために農地転用する場合
- 農業法第5条:農地所有者から農地を売買・賃借して農業以外に使用するために農地転用する場合
いずれも、農地転用については都道府県知事等の許可を受けなければならないと定められています。
農地転用で許可が必要な場合とは?許可基準を確認!
農地転用の許可が必要となるのは以下の2つのケースです。
- 農地の所有者本人が農地を農業以外で使用する
……家を建てる、お店を建てる、駐車場にするなど - 農業以外に使用する目的で、農地を売却・賃貸する
……購入者が購入後に家を建てる、お店を建てるなどするために農地を売却・賃貸する
売却後も農地として使用する専業の農家へ売却する場合では、農地転用の手続きは必要ありません。
また、あらかじめ農業委員会に届出をした市街化区域内の農地転用や国・都道府県・指定市町村による農地転用、市町村が道路や河川といった公共事業のために転用する場合では許可は不要です。
農地転用の許可基準
農地転用が許可されるかどうかは、「立地基準」と「一般基準」の2つで判断されます。
立地基準では農地に適している土地を5つの区分に分け、許可・不許可を規定しています。
立地基準
農地として生産性の高い以下の3つの区分は、農地転用が原則不許可となっています。
①農用地区域内農地
市町村が定める農業振興地域整備計画により農用地区域とされた区域。
②甲種農地
市街化調整区域内にあり、農業公共投資後8年以内、集団農地であり高性能農業機械での営農が可能な農地。
③第1種農地
10ha以上の集団農地で、農業公共投資対象の農地。
以下の2つの区分は、農地転用が許可される可能性があります。
④第2種農地
農業公共投資対象外、生産性が低く市街地として発展する可能性がある区域の農地。
⑤第3種農地
都市的整備がされている区域など市街地にある農地。
①農用地区域内農地、②甲種農地、③第1種農地については、農業用施設や土地収用法対象事業のための転用など、一部の例外をのぞいて原則不許可です。
そのため、農業用以外の倉庫や工場の建設を検討している場合、農地の中では、④第2種農地、⑤第3種農地が建設予定地の候補となり得ます。
ただし、近年では活用されていない農地が増えていることもあり、①~③区分の農地についても、国土交通省の土地利用調整を行ったうえで、例外的に農地転用を許可していく方針がみられています。
2021年には、第1種農地においてはじめて農地転用許可を取得し、大型物流施設を建設した事例もあります。
一般基準
一般基準では、転用によって周辺農地への悪影響はないか、転用後の事業を確実に行えるかなどを申請書によって判断されます。
転用違反をしたらどうなる?
無許可での農地転用、無許可での農地転用のための売却・賃貸、農地転用許可の条件に違反した場合などは、転用違反となります。
農業委員会や都道府県知事などから是正の指導や勧告が入り、従わない場合は農地法に基づいて農地転用許可の取り消しや原状回復などの命令がなされます。
また、3年以下の懲役や300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下)を課せられる可能性もあります。
農地転用の手続き方法や流れを紹介
農地転用の許可申請は、地域の農業委員会を通じ都道府県知事などへ提出します。
申請者は、所有者本人が転用する場合は本人、転用のために売却・賃貸する場合は譲渡人と譲受人の連名となります。
提出書類は以下の通りです。
- 転用許可申請書
- 住民票
- 地図
- 土地の登記簿謄本
- 公図
- 転用後の利用計画書など
農地転用の許可申請自体には費用はかかりませんが、住民票などの必要書類を取得する費用、行政書士などへ手続きの代行を依頼した場合はその報酬などがかかります。
農地転用とは農地を農業以外に活用するのに必要な手続き
日本の農業を守るためにも、農地は農地法によって保護・規制されており、農地では農業以外の使い方はできません。
農地を農業以外に活用したり、農業以外に使うために売却・賃貸したりするためには、都道府県知事などから農地転用の許可を受ける必要があります。
倉庫や工場の建設も例外ではありません。
農地転用は必ず許可されるとは限りません。
市街地の農地など生産性の低い農地では許可される可能性がありますが、農業公共投資対象の農地や生産性の高い農地では原則不許可となっています。
しかし近年は、活用されていない農地の増加などを受け、原則不許可の区域でも例外的に農地転用を許可されるケースも。
2021年には、第1種農地ではじめて農地転用許可がおり、物流施設を建設した事例もあります。
農地転用は、地域の農業委員会を通して都道府県知事などへ許可申請を行い、許可を受けます。
不許可で農地転用を行なったり、許可条件に違反したりすると転用違反となり、許可が取り消されたり、懲役や罰金が課せられたりする可能性があります。
農地へ倉庫や工場の建設を考えている方は、立地基準や一般基準に適合するかどうかをしっかり見極め、計画を進めるようにしましょう。
戦略倉庫では、約1,000通りのシミュレーションから最適なプランをご提案することで、低コストで高品質な倉庫や工場を短納期で建築可能です。
北海道や東北で倉庫・工場の建築をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。